ナショナル劇場は、1956年から2008年まで、TBS(東京放送)が提供した日本のテレビドラマ枠の名称です。主に時代劇を中心に放送し、長寿番組を数多く輩出したこの劇場は、日本のテレビ史において非常に重要な存在でした。TBS系列の月曜日夜8時から放送され、「ナショナル」の名は、提供スポンサーである松下電器(現:パナソニック)のブランド「National(ナショナル)」に由来しています。
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ナショナル劇場の始まり

ナショナル劇場の放送は、1956年4月2日にスタートしました。初回作品は、時代劇「快傑ハリマオ」で、その後も多くの時代劇や現代劇が続けて放送されました。松下電器が一社提供する「ナショナル劇場」は、日本国内で最も長く続いた一社提供番組枠であり、2008年3月17日に終了するまで、52年にわたり続きました。この長寿番組枠は、日本のテレビ業界での一つの象徴的な存在として、多くの視聴者に親しまれました。
代表的な番組

ナショナル劇場は、時代劇を中心に、数多くの人気番組を生み出してきました。その中でも、特に有名な作品をいくつか紹介します。
- 「水戸黄門」
- 「水戸黄門」は、1969年から2003年まで放送され、さらにその後も何度か再スタートを切り、ナショナル劇場を代表する長寿番組となりました。この時代劇は、徳川光圀(通称:水戸黄門)とその家臣たちが旅をしながら悪人を懲らしめ、正義を貫く姿を描いています。特徴的な「印籠を見せて悪人を裁く」シーンは日本のドラマ史における名場面として有名で、多くの世代に親しまれました。
- 「大岡越前」
- 1970年から1999年まで放送された「大岡越前」も、ナショナル劇場の代表作です。この番組は、江戸時代の名奉行・大岡忠相の人情味あふれる裁きと、彼が直面するさまざまな事件を描いており、時代劇ファンに根強い人気を誇りました。
- 「江戸を斬る」
- 1973年から1994年まで放送された「江戸を斬る」シリーズも、ナショナル劇場の人気作の一つです。江戸の町で悪党を退治する主人公の活躍を描くこのシリーズは、多くの続編が制作され、長期間にわたって視聴者を魅了しました。
時代劇の意義とナショナル劇場の役割
ナショナル劇場は、日本のテレビ界において時代劇文化を広める重要な役割を果たしました。時代劇は、歴史的な人物や出来事を題材にし、正義感や人情、武士道精神といった伝統的な日本の価値観を描くことが多く、世代を超えて多くの視聴者に共感を呼びました。特にナショナル劇場で放送された作品は、親子で楽しめる番組が多く、家庭団らんの時間を彩る存在として親しまれました。
ナショナル劇場が長期間にわたって時代劇を中心とした番組編成を行ったことで、時代劇そのものが日本のテレビ文化の一部として定着し、多くの視聴者がそれを通じて歴史に触れる機会を得ました。また、長寿番組として続いた作品が多いことで、シリーズに親しんだファン層が形成され、その人気を支えてきたのです。
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松下電器(ナショナル)の影響と番組終了の背景

ナショナル劇場が「ナショナル」の名を冠していたのは、提供スポンサーであった松下電器(現:パナソニック)の影響です。松下電器は、一社提供の形でこの番組枠を支援し、長年にわたって「ナショナル」のブランド名を広めるための広告手段としてナショナル劇場を活用しました。しかし、パナソニックのブランド戦略が変わり、2008年には「ナショナル」の名称を段階的に廃止して「パナソニック」に統一する方針が取られました。
このブランド名の変更に伴い、「ナショナル劇場」という名称も終了することになりました。そして、2008年3月17日の放送をもって52年続いたナショナル劇場は幕を下ろしました。その後は「パナソニック ドラマシアター」という新しい名称でドラマ枠が引き継がれましたが、ナショナル劇場としての役割はここで終わりを迎えました。
ナショナル劇場の遺産とその後の影響
ナショナル劇場の終了後も、そこで育まれた時代劇の人気や文化は日本のエンターテインメントに影響を与え続けています。特に「水戸黄門」や「大岡越前」などの代表作は、放送終了後も再放送や特別番組、さらにはリメイク作品などでその人気を維持し続けています。
また、ナショナル劇場で培われた制作技術や演出のノウハウは、その後のテレビドラマ制作においても多く活用され、時代劇のみならず現代劇や他のジャンルにも影響を与えました。特に、家族で楽しめるエンターテインメントの提供という考え方は、現代のテレビ番組制作にも引き継がれています。
まとめ
ナショナル劇場は、52年間にわたり多くの時代劇と視聴者の心をつなぎ、日本のテレビ史における重要な役割を果たしました。その代表作である「水戸黄門」や「大岡越前」は、今もなお多くの人々に愛され、時代を超えたエンターテインメントの一部として存在しています。ナショナル劇場が残した足跡は、単なるテレビ番組の枠を超えて、日本の文化や価値観に深く根付いていると言えるでしょう。
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